海外の美容室でのクレーム。外国人のお客様への対応とクレーム予防のコツ

海外美容師

海外のお客様は日本人のお客様よりも髪型に関しておおらかな人も多いのですが、気に入らない場合ははっきりクレームを言います。

この記事ではオーストラリアで10年ほど美容師をして、店長として他のスタッフのクレーム対応などもしている私が海外の美容室のクレーム対応についてまとめました。

クレーム対応が怖い方や自信の無い方は是非読んでみて下さい。

この記事はこんな人におすすめ

・美容師としてワーホリや留学で海外に行く予定がある

・海外の美容室で働いてクレームを受けてしまった

・外国人のお客様が多いサロンで働いている

・クレームがあると頭が真っ白になりつい、Sorryと言ってしまう

・海外の美容室でマネージャーをしている

お客様は神様ではない

日本の接客スタイルと違って、「お客様は神様」のような文化は海外にありません。

店員とお客様は対等な関係、お客様はお客様です。

でもこちらは接客のプロ。お客様に横柄な態度をとっていいわけではありません。

美容師などのホスピタリティ系の職業は、サービスを提供することによって対価を頂いているので、気持ちのいいコミュニケーションをとることは必要不可欠になります。

そこで、クレームが出たときに対等かつ丁寧な対応をするためのコツをお伝えします。

海外の美容院でのクレーム対応のコツ

数日前に担当したお客様からの連絡があると、そのほとんどがクレームやお直し。

美容師ならだれでもドキッとなりますね。

そんな時でもまずは落ち着いて対応しましょう。

クレームの電話対応

クレームの電話が来たらまず落ち着いて対応しましょう。

緊張してしまう人は深呼吸。

まずは挨拶から。「Hi ○○(お客様の名前),How are you?」」と言います。

お客様がどこが不満だったかを言うのでとりあえず聞きます。

優しく丁寧に話してくれる方ばかりでなく怒って「It’s very bad.」などストレートに言って来る方もいますが、まずは「I see..」など相槌を打ちます。

髪の毛の切り残しなど明らかにこちらのミスでお直し可能と思われる場合は「I’m sorry,Can I help you to fix your hair cut?(申し訳ございません。お直しをさせていただけますか?」

と聞いたりしますが、当日はいい感じに見えたパーマなどの場合、「How is your perm when your hair is wet?」

などまず質問をしてみます。

塗れている時にパーマが出ているならスタイリングの問題の可能性もあり、スタイリングの仕方を教えることで解決。

濡れている時にもほとんどカールが出なければもう少し強くかけないとスタイリングしにくい場合があるのでお直しのオファーをします。

電話の後には「Thank you for telling me that.」や、明らかに失敗してしまって相手も怒っているような場合は「Sorry for make you disappointed.」など、謝罪と感謝の言葉を使い分けます。

髪の状態を確認

お客様が来店したら気に入らなかった部分を聞き、髪の毛の状態を見せてもらいます。

そこでお客様が求めていたものと仕上がり時の違いの確認。

こう施術したからこうなった、(パーマのロッドが大きすぎた、カットのレイヤーが足りなかったなど)というお直しの原因になったことを探します。

とりあえず謝罪はNG

お客様が怒って来店されたら、とりあえず「Sorry」と言いたくなってしまいますが、まずは話を聞き、お客様の気持ちを理解するよう努めましょう。

先に謝ってしまうと、こちらが全面的に悪いと認めることになるので、返金やカウンセリングの時とは違うスタイルでお直しを要求されるかもしれません。

謝罪よりも先に、「Thank you for coming back」など感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。

返金やお直しの対応を決めるのは、まず髪の状態を見てからが鉄則です。

サロンの方針を確認

サロンで定められているお直し期間や、返金する場合の基準などの方針を確認せずに自分で判断してしまうと、サロン側とのトラブルにつながることがあります。

クレームが来た時点でお店の方針を再確認、稀なケースのクレームの場合はお客様とマネージャーやオーナーとも密にコミュニケーションをとって対応しましょう。

パーマやカラーなどの場合、もう一度やると髪が傷むからやりたくない、返金して!など言われることもあるので、その場合はすぐに了承せず、毛髪診断をさせてもらい、お直しによって今よりも大幅に傷むことが無いかチェックします。

お直しできそうな場合はトリートメントを無料でつけてあげるなどして、「Your hair is strong enough to redone ,also I’ll give you treatment.」

などと説明して納得してもらいます。

自分に何ができるかを提案

髪の状態を確認後、「What I can do is cut more layer for top and make it slightly thinner for the back.(私にできることは、トップにもっとレイヤーを入れることと後ろを少し軽くすることです。」

カラーの根元部分と毛先が合わない時は、「I will make your ends part darker to make it more blended to the roots part(毛先を暗くして根元の色となじませます)」

などお話しして、お直しでできる対応を伝えます。

お客様が同意したら施術に入ります。

お直し中の接客

お直し中の接客は気まずい雰囲気になりがちですが、まずは一番にお客様を気にかける声掛けをしましょう。

「お時間は大丈夫ですか?」、「お茶をお持ちしましょうか?」、「頭皮はしみてないですか?」など普段の接客で使う基本的なものや、「今回マッサージを多めにさせていただきますね。」、「傷みが出ないようにトリートメントをたっぷりつけておきます」など、時間をさいてお直しに来てくれた方への特別な気遣をするような声掛けも大切です。

お直しの仕上がりに満足していただけたら、帰り際には「今日は来ていただいて本当にありがとうございました。(Thank you so much for coming today!)」などの感謝の気持ちを伝えます。

感情を落ち着かせる

難易度が高いのが怒っているお客様。

美容師側は怖くてひるんでしまったり、お客様の言い方にイライラしてしまったりしがちですが、まずは感情を落ち着けましょう。

特にこちらに落ち度が少なく、相手の言い分が理不尽な場合も落ち着いて話を聞くことが重要です。

例えば、黒染めをしているのでブリーチ1回ではオレンジみが残る色味になると説明して了承したにも関わらず、オレンジみが気に入らないとのクレームなど。

お客様の言い方によってはますますイライラしてしまうことがありますが、まず感情が乱れてきたら呼吸を深くして心を落ち着かせます。

そしてお客様の怒りの感情はスルーして、言っている言葉に注意を向けます。

そこでお客様が本当に求めているものは何か探り、怒らせてしまったことの謝罪とサロンで対応できること、できないことを冷静にはっきりと、かつ丁寧な言葉で伝えます(これが一番難しい)。

例えば、「Sorry for make you disappointed,but you have black hair dye few month ago, It’s hard to make light ashy blonde with one bleach as I explaind befor survise.(がっかりさせてしまい申し訳ございません、でも施術前に説明した通り、黒染めを数か月前にした髪では明るいアッシュブロンドにするのは難しいです。)」

など、説明不足であればお直しになりそうですが、施術前に説明して納得していただいたにも関わらずクレームになってしまった場合、お直しをするか、料金を頂いてもう一度ブリーチをするかなどサロンによって対応が違うので、お店の方針を確認して対応します。

クレームは予防も大事

クレーム対応はなかなか大変なので、予防することがとても大事です。

クレーム予防のコツをいくつか紹介します。

カウンセリング時の毛髪診断

バージン毛に見えても実は黒染めや縮毛矯正履歴があった場合、気づかずに施術すると失敗する確率が高まります。

履歴は見ただけではわからないので、お客様に質問して髪の長さ分の履歴をしっかり確認することが失敗を防ぐのにかなり重要です。

起こりえる可能性を全て伝える

例えば、海外のお客様で多いのが、1年ほど前にカラーした超ロングリタッチ。

フルカラーを勧めることがほとんどですが、それでもきれいなワンメイクにするのが難しい施術です。

そんな時は「You have very long regrowth, It’s hard to make exactly same colour for roots and ends. But I’ll make it blended as much as I can」(伸びて来た部分がかなり長いので、根本と毛先を全く同じ色にするのは難しいです。でもできるだけ馴染ませるようにします。)

のように理由も説明して、後からクレームになるのを防ぎます。

また、お客様が持参した写真がお客様本人の髪質と全く違っている場合や履歴的にできない場合は、

「The photo is very different to your hair , I’ll show you what styles are possible with your hair 」(この写真はあなたの髪質とかなり違うので、あなたの髪ではどんなスタイルが可能か写真をお見せします。)

など説明し、自分がそのお客様の髪の状態でもできそうなスタイルやカラーの写真を見せます。

写真1枚だけでなく何枚か見せて、「だいたいこれくらいの色味になります」など、絶対にこの色になるとは保証できませんが似たような感じの色になりますということを伝えると後からトラブルになりにくくなります。

断ることも大切

ダメージが深刻でパーマやブリーチが出来ない場合ははっきりと断りましょう。

できるかわからないギリギリの場合かつお客様がどうしてもやりたいと言っている場合は、

「I can try, but I can’t guarantee you for the perm, because your hair is very damaged. And if you don’t get perm or your hair become frizzy ,I can’t fix it because perm solution doesn’t work for ruined hair.」

(トライしてみることはできますが髪がかなり傷んでいるのでパーマがかかる保証はありません。もしかからなかったり髪がチリチリになってしまってもお直しはできません。なぜなら破壊された髪にはパーマ液が効かないからです)

など、保証ができない、お直しもできないことを伝えてそれでもやりたい場合に施術を選択します。

結果を約束しない

カラーやパーマは特に、髪質の違いで仕上がりに差が出ます。

写真と全く同じにはならないかもしれませんができるだけ近い感じに仕上げます。

など説明し、お客様が持参した写真だけを見て「OK.」と言って施術に取り掛かるのは超危険!

海外では、「Under promise over deliver」を戦略としているサロンがありますが、

「約束した以上のものを提供する」という意味です。

最初に提示した結果以上のものを提供して価値を高めるというものですが、これはかなりクレーム予防に役立ちます!

お客様の期待は大きくしすぎず、カウンセリングで提示したもの以上の仕上がりを目指していきましょう。

まとめ

クレームが来ると誰もがストレスを感じてしまいますが、正しい対処法や予防法を知って落ち着いて対応しましょう。

英語でクレーム対応までできるようになったらあなたは英語圏であればどこの国でも美容師として働けるはず!

最後までお読みいただきありがとうございました。

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