海外と日本の髪型の違い。日本人美容師が苦手なカットまとめ。

ワーホリ

これからワーホリなどで海外で働いてみたいと思う美容師さんや、海外で働き始めたばかりで日本との違いに戸惑っている美容師さん向けの記事を書いてみました。

日本でたくさん努力をして一人前の美容師になり、「日本の丁寧で素晴らしい技術を世界の人に提供したい」と思って海外に来たらクレームばかり、ということは珍しくありません。

言葉の壁もありますが、技術を無視しているとお客様の指名を増やすのは難しくなってしまいます。

この記事では、オーストラリアで10年美容師をしている私が日本と海外の髪型の特徴について解説します。

オーストラリアだけでなく、アメリカやカナダ、ヨーロッパなどでも共通するものがあるのでいろんな国の美容師さんに参考になるかと思います。

日本と海外の髪型の違い

海外といっても、オーストラリアではいろんな国からの移民が多く、髪質も好みも様々ですが、明らかに日本と違う特徴があります。

日系サロンで働いている人はお客様の中に、日本大好き、日本で流行りの髪型にしたいという方もいると思いますが、それ以外の方は日本で求められるテイストとは違うものを求められます。

日本の髪型の特徴

日本の髪型の一番の特徴は、前髪。

前髪がある人が圧倒的に多く、髪型の印象は「かわいい」

アイロンで上手にスタイリングする人が多く、外ハネや内巻きなど毛先の動きをコントロールするのが特徴。

毛先の質感は軽めで、切りっぱなしボブ以外では毛先の質感はブラントよりもナチュラル。

オイルやワックスなどで仕上げます。

海外の髪型の特徴

海外の人は、どの人種であっても眉下の長さの前髪を作る人は圧倒的に少なくなります。

最近人気なのは、カーテンバングという頬骨から耳くらいの長さでリバースに流れるような前髪。

可愛い髪型よりは大人っぽい、かっこいい髪型が好まれます。

仕上げはアイロンよりもブローで表面のツヤと根元からのボリュームを出すのが好まれ、カットのカウンセリングでもトップのボリュームが出やすい髪型を求められます。

ハイレイヤー

日本人の美容師さんであまり経験が無い人が多いのがハイレイヤー。

胸下くらいあるロングでもサイドは顎下くらいから繋げてほしいという方もいます。

後ろから見た形もV shape layer(ヴィーシェイプレイヤー)と言って、アウトラインがVの形になるように切ることも多々あります。

その場合トップにもたっぷりレイヤーが入ったロングのハイレイヤーカットになるので、切り慣れていない方はYouTubeなどで勉強する必要があります。

ロングハイレイヤーのポイント

がっつりレイヤーを入れると、毛量が多い人は毛先が厚すぎて馴染まないことが多く、焦ることがありますが大丈夫。

毛先を軽くして馴染ませればちゃんと馴染みます。最終的な質感調整はスライドカットがおすすめ。

なによりも大事なのは短く切るべきところをしっかり切り込むこと。

怖くてなんとなくすいてごまかすだけではきれいな形ができません。

ただ髪が薄い人はレイヤーの範囲を慎重に決めて穴が開かないようにすることが大切です。

前の方は大胆に切っても大丈夫なので、そこでレイヤー感を出すと満足してもらいやすいです。

前下がり

前下がりボブもよくあるオーダーの一つ。日本ではあまり見かけないようなかなり角度のついた前下がりのボブも海外では切る機会があります。

英語で前下がりボブは、「Concave bob(コンケーブボブ)」)。

また、教科書に載っているような典型的なグラボブを求められることも。切り慣れていない方は復習しましょう。

前下がりボブのポイント

この手のスタイルは可愛い系では無いので、ツヤとボリュームに気をつけてスタイリングしましょう。

ゆるふわなスタイルでは無いので、アウトラインをナチュラルにすくのが嫌いな人もいます。襟足の写真をいくつか見せてどんな質感が好きかお客様の好みを探ります。

襟足をナチュラルにしたところ、襟足がそろっていなくてジグザグに切られたというクレームを見たことがあるので注意!

また、前下がりの前の方のカドをとるか取らないかは好みによるので、よりシャープにしたければカドは残し、少し柔らかくしたい方はカドをとります。

角度が急な前下がりも切るのが怖い技術の一つですが、どこにウエイトが来るか確認しながら切ると失敗を防げます。

髪の毛のすき方

上手にアイロンでスタイリングできるお客様はある程度髪が軽い方が巻きやすいのですが、海外のお客様は髪を巻く習慣がある人はとても少数派。

特に西洋人の方やインド、中東系のお客様はもともと多毛の人でも厚みを残したい方もいます。

髪をすく時のポイント

カウンセリングで重めが好きか、軽めが好きか、ブラントな毛先が好きか、またはナチュラルな毛先が好きかを聞くのがとても大事。

重め、軽めという感覚も人によって違うので途中の段階で髪を触ってもらって毛量を確認してもらうことも忘れずに。

ストレートアイロンなどを使わない癖毛の人はすきすぎるとスタイリングが難しくなるので、注意しましょう。

日本と海外で違うカット後のスタイリング

ブローやスタイリングも日本と大きく違うところ。

海外ではあまり濡れた質感のスタイリングはせず、軽い質感に仕上げます。

カーリーヘアの人はナチュラルにカールを生かすよりもツヤツヤ&ボリュームのあるストレートのブローが好まれます。

これがなかなか難しく、面がぼわぼわしていると髪がドライに見えて、ブローが下手な人に見られるのでブローの練習は必須です。

ブロー、スタイリングのポイント

オーストラリアで働いてみて、どのサロンでもよく言われるのがトップのボリューム。

しっかりロールブラシで根元を立ち上げましょう。

私が日本で教わったブローは、「ノーテンション」でしたが、こちらではテンションをしっかりかけて、半乾き位の状態から熱をしっかり当てて癖を伸ばします。

最初は髪が傷みそうで心配になりますが、乾く前の状態からテンションをかけてブローしないと、カールがきれいに伸びず、持ちも悪くなります。

湿気が多い日は仕上げに湿気を防ぐスプレーなどをかけると、多少の湿気でも崩れにくくなります。

まとめ

日本とはかなり違う海外の髪型ですが、ヘアカットの基本、ワンレン、グラデーション、レイヤーを全て理解していれば角度のコントロールでどんな髪型も切れます。

日本のお客様は全体的にお手入れも行き届いていてスタイリングも上手ですが、海外では、半年~1年ほど髪を切らない方も多く、バッサリカットする機会も多くなります。

たくさん切るとなると時間もかかるので、次の予約に間に合うようにスピードを上げることも重要。

慣れないうちは苦戦しますが、髪型のバリエーションは日本よりも多く、海外の美容室で働くとスタイルの引き出しはかなり増えます。

頑張ってスタイリストになったのに、苦手な技術に直面して悩んでいる美容師さんに少しでもお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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